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「ゲームと歴史」研究部会 第1回研究会

日時 令和6年5月11日(土)13:00〜15:00
(受付/資料配布 12:30〜13:00)
場所 大阪電気通信大学 寝屋川キャンパスA号館1階 コンベンションホール
題目 日本書紀のジグソーパズル 〜239年から427年までの紀年復原〜
発表者 高見友幸(大阪電気通信大学 総合情報学部)
参加費 無料

概要

日本書紀のジグソーパズル 〜239年から427年までの紀年復原〜

 日本書紀の紀年復原を試みた。主観的解釈論を一切用いることなく日本書紀の年表を作成したあと、これを文献史学と考古学の観点から検証する。紀年復原の作業はジグソーパズルを組み立てるようにしてなされるため、パズルのプレイヤー(古代史研究者)によらず同じ復原結果(以下、原日本書紀と呼ぶ)を得ることができる。復原の手法は基本的には笠井倭人氏(1953年)と伊藤雅文氏(2019年)により提起された考え方に沿うが、いくつかの追加的な考え方を適用している。

 神武天皇と応神天皇は同一人物である、あるいは、神武天皇と崇神天皇が同一、日本武尊と仲哀天皇が同一、日本武尊と武内宿禰が同一であるというような同一人物仮説は、これまで数多く提起されてきた。それは日本書紀の文面あるいは行間に同一人物仮説を疑わせるような暗示が漂うからである。しかし、これらの暗示は「気のせい」ではなくて、そのとおりに意図されたものである可能性が高い。発表では、原日本書紀の紀年といくつかの古典籍(古事記、住吉大社神代記、猿投之本縁、新羅本紀、秦書(太平御覧)、百済本紀、常陸国風土記、等々)から上記の仮説を検証する。

 日本書紀の編纂者はジグソーパズルの形で、一編の歴史シナリオを組み込んだように見える。そのシナリオはパズルを完成させない限り見ることができない(なぜそんな史書に仕上げたのだろう)。浮かび上がるシナリオが史実なのかどうかはともかくも、我々は日本書紀がパズルとして設計された希有な史書であることを意識した上で、日本古代史の探究に臨む必要があろう。

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